入居審査とは? 厳しいアパートとゆるいアパートの違い

賃貸管理

土地活用の営業をしていると、
古いアパートを建て替える工事をお引き受けさせていただくことがときどきあります。

そうなるとまずはご入居中の方にお引越ししていただく必要があります。
その折に感じた、アパートの入居審査について今回はお話しさせていただこうと思っています。

アパートの入居者の方に立ち退きをしていただく際に
ご退去の申し入れなどはオーナー様から直接やっていただくのですが
入居者様が立ち退くためのお引越し先のお探しについては、立退きのアシストとして
私がやらせて頂いておりました。
(詳しくは「老朽化したアパートの建て替えと立ち退き」をご参照下さい)

入居者様といっしょにお部屋探しをして、ようやく条件に合う次のお引越し先が見つかったら、
つぎにクリアしないといけないのは入居審査です。

なんとしても審査を通して頂いて、無事にご退去お願いしたいのですが
ここが最大の難関になります。

そのときに感じたのは、
入居審査がとても厳しいアパートと、かなりゆるいアパートがある
ということです。

その具体的な違いと、それによって何が変わってくるのかという点について
実体験に基づいてお話をさせていただきます。

立退きなどはあまり興味ない、とお感じの方もいらっしゃるかもしれませんが、
入居審査の実態などについてはご参考にしていただける部分も多いかと思っています。

入居審査をするのはなんのため?

アパートによる入居審査の違いに気づいたのは、
立ち退きの移転先探しをするなかで、入居者さんが入居基準にあてはまらず
基準のゆるいアパート探しに奔走した経緯があったからです。

立ち退きがかかるアパートというのはたいてい老朽化していて、あまりきれいではない反面
低家賃なうえに、もともとの入居審査のハードルが低かったりしますので、
高給取りの方や、社会的に恵まれた方がお住まいになっておられることはあまり多くありません。

そうした入居者さんのお部屋探では、移転先の入居審査はなかなか通りにくいことが多く
なんとか審査のゆるいアパートを探さなければ、いつまでたっても移転先が決まりません。

毎回あれこれ苦労して移転先をお探しして、なんとかうまくもぐりこんでいただき
これまでどうにか無事にすべての入居者様にご退去いただいてきました。
(普段は審査するオーナー様側の立場にいるので、なんとも心苦しい仕事ではありましたが…)

まずそもそも入居審査とは何をするのでしょうか。

アパートを借りたご経験のある方ならご存じかと思いますが、
住みたいお部屋が決まったら、ご住所や氏名、年齢などを申込書に記入します。
また、お勤め先やご年収、保証人さんのお名前や連絡先を記入する欄もあります。
こんな感じです。

そして必要書類の準備を求められ、
身分証明書と年収の証明書、あと保証人さんに実印をもらってください
と言われるのですが、これが入居審査です。

家主さんや管理会社の担当者の方がその内容を見て
入ってほしくない入居者さんをふるい落としていくのです。

いまはクレジットカードの仕組みと同様に
保証会社が入居者さんとの間に入って家賃を支払う方式が多くなっているので
同時にクレジットカードの審査のようなものもある、と思っていただけるとよいかと思います。

そして入居審査の目的は、
入ってこられては困る人を入り口で門前払いするためのテスト
だとお考え下さい。

ではどんな方を断らないといけないのか
どんなトラブルにつながるリスクがあるのでしょうか。

入ってもらっては困るのは、どんな入居希望者か

滞納の危険のある方

冷たいようですが、お家賃がいずれ払えなくなりそうな入居者さんはお断りしています。

入居したままお家賃を滞納されるのは、空室よりも困るからです。
(空室と違ってお部屋が埋まったまま家賃が入ってこないから、つぎの入居者を入れられない

もちろん払わない方が悪いので、そうなると法律による手段をとらないといけないのですが、
そのために弁護士さんや裁判所のお世話にならなくてはならず、
時間もお金も使うこととなってしまいます。お家賃に対してまったく割に合いません。

なので、事前にお勤め先ご年収は必ずチェックします。
あとで源泉徴収票を出して頂くので、嘘をついてもすぐバレます。

でも、なかにはご年収も高くてお勤め先も立派なのに、保証会社の審査で落ちた方がいて驚いたことがあります。
その方は以前に保証会社を使った賃貸に入居しておられて、そこで滞納を繰り返しておられたからでした。
クレジットカードと同様に、そうした履歴の情報はいろんな保証会社が共有してるのです。

他にも、立ち退きの入居者さんの移転先の審査を申し込みした翌日にお断りの連絡があって、
理由も一切教えてもらえなかったことがありました。
それを入居者さんにお伝えしたら「そういえば1年前に、自己破産したんです」
と告白されて、がっくりきたこともあります。

お金に関しては、人は見た目ではわかりません。
しっかりしているようでお金にルーズな方はたくさんおられるので
信用情報のチェックは大事かと思います。

面倒なことになりそうなとき

あとあと困ったことになりそうな予想がされるときも断わられるケースが多いです。

これはたいへん言いにくいのですが、
ご高齢者様の移転先をお探しするときによく経験するハードルの一つです。
年齢制限をかけていて、問い合わせの段階で断わってくるアパートが結構あるのです。
(75歳とか80歳以上は不可、などが多かったように思います)

決してご高齢者様ご自身に落ち度があるわけではないのですが(むしろ良い方が多いです)
いずれ寿命を迎えられたときに、ご本人様ご自身が後始末をすることはできません。

お部屋の遺品整理や退去などをどなたかにお願いせざるを得ず、
それがスムーズにいかない
ことが多いからなのです。

だれも片付けをしないままお部屋に荷物が残ってしまいますと、
お部屋がいつまでも貸せない状態になり、
これまた弁護士さんや裁判所のお世話になるはめになってしまいます。

お知り合いが保証人さんになっておられる場合や保証会社をつけた場合などでも、
それとは別で、近いご親族の方の緊急連絡先の提出が条件になっていることもあります。

理由はよくわかりませんが、ご親族には財産を相続される権利があるので
お知り合いよりも協力してもらいやすいからでしょうか。

いずれにせよアパートの管理会社さんが必ず保証人さんの実印と印鑑証明を求めたり
ご親族に電話をして確認したりされますので、
相手方のご了解がなかったり、でたらめな番号を書いたら審査は通りません

ある立ち退き入居者さんのケースでは、児童養護施設で育って身寄りがなく
審査で断られそうになったので
なんとかお願いして生き別れた妹さんのご連絡先を調べてもらいました。
ご本人は電話をしたくない、とおっしゃるので私が妹さんに電話して事情を説明し
それでなんとか審査を通してもらったこともありました。

そんな立ち退き入居者さんの移転先探しをやってきて、これまですべての方にご退去いただいてこれたのも
審査の厳しいアパートばかりではなく、基準のゆるやかなアパートを見つけることができて、
そこで入居者さんを受け入れてもらえたからです。

受け入れて下さったオーナー様には本当に感謝しておりますが、
結果としてややリスクの高めの入居者さんを引き受けていただくこととなってしまいました。

そうしたリスクをできるだけ避けたい、とお考えのオーナー様への注意喚起として、
どんなアパートがゆるやかなのか、どのような点にご注意いただきたいのかをお伝えいたします。

審査がゆるいアパートの特徴

不動産屋さんに任せきりのアパート

紹介された入居者さんが、リスクの高い人なのかそうでないのか
経験の少ない大家さんにとって、なかなか判断のむつかしい
ところではないでしょうか。
そんなとき頼りになるのは、仲介してくれる不動産屋さんの判断だ
とお考えになる方は多いかと思います。

そして、あまり相談相手もおらず
わからないからプロにまかせよう」という大家さんのアパート
私の経験上では、リスクの高い入居者さんをいちばん送り込みやすい、と感じています。

確かに仲介の不動産屋さんはプロですが、
入居者のお部屋を決めて手数料を稼いでいる人たちです。
うまく入居者さんの審査を通して早く契約までもっていこう、ということを常に意識して仕事しています。
賃貸ショップの店員さんの言葉を、何もかも信用してしまうのはすこし心配です。

立退きの入居者さんの移転先を見つけるのに苦労したときに、
賃貸ショップの店員さんに相談に行くと
「〇〇アパートのオーナーさんなら、相談したらいけますよ!わりとゆるいです」とか
ここの保証会社は甘いから、ここを使ったら通せるかも」とか、
いろいろ情報を教えてもらいました。

彼らは仲介業者なので、お部屋を決めて報酬をもらうビジネスです。
入居者さんからも手数料を受け取っています。
必ずしも味方だとは思わないほうがいいかと思います。
どうかご自身の判断を大切になさってください。

管理会社を入れていないアパート

そのなかでも、管理会社が管理しているアパートはなかなか厳しくてハードルが高かったです。
賃貸ショップの店員さんも、そういう厳しいアパートはよく知っていて、
相談しても「ここの管理会社は一切交渉ムリですねー」と即答されることが多かったです。
(入居審査はたいてい、まず管理会社さんを通してからオーナーさんに相談という順序です)

部屋付けのときに紹介してそれっきりになる賃貸ショップの店員さんと違い
管理会社さんは入居者さんが入居してからも、
大家さんに代わってそのアパートの管理(集金や苦情対応)でずっと付き合うことになります。
なので、あとあと困りそうな入居者さんには敏感でした。

また、管理会社さんは1社で何百戸(多いところでは千単位)のお部屋を管理していますので
トラブルの事例対応の経験は豊富ですし、法律の専門家への相談もしておられます。
そんなプロの眼をごまかそうとしても、なかなかむつかしいと感じました。

個人経営の大家さんにも、もちろん経験豊富で厳しい方はおられるのですが
管理会社さんとくらべると、どちらかというと人情味が厚いところがあって
私の印象では、管理会社さんよりは審査はゆるかったように思います。

管理会社に管理してもらうことで、手数料もかかってしまいますし
なにもかもご自身で進めたいオーナー様にとってはご不満もあるかもしれませんが
リスクを避けるうえでは効果は高いのではないかと思っています。

そもそも、私が立ち退きのアシストをさせていただいた古いアパートの入居者さんの多くは
なかなか行く先がみつからない、筋金入りの高リスクの入居者さんたちでした。
なんでこの方の入居をOKされたんですか?とオーナーさんにお聞きしたら、
大丈夫ですよ、と当時の不動産屋さんに言われたんで」とか「知り合いから頼まれたんで。。」
というお返事が多かったです。

そしてそうしたオーナーさんは、たいていが優しくて人情味のある個人経営のオーナー様でしたが
多かれ少なかれ、賃貸経営ではご苦労なさっておられました。。

まとめ

  • 入居審査は高リスクな入居者さんを避けるための最終関門
  • 滞納リスクとトラブルの種には要注意
  • 人情や不動産屋さん任せはほどほどに

賃貸経営のためには冷酷になって下さい、と申し上げるつもりは決してありません。
条件をゆるめることで、紹介いただける入居者さんの間口を広げることができるので
部屋付けのチャンスがより広がる一面はあります。

でも高リスクの入居者さんを引き受けると、困ることも多いですし
もし何かあって退去いただくときも、次の行く先がみつかりにくい方々です。
入居審査は入念に行っていただき、できればやや厳しくされた方がよいかと思います。

健全なアパート経営のご参考にしていただけましたら幸いです。

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