アパート経営にサブリースは必要か

賃貸管理

アパート経営の検討をしていくなかで、「サブリース」という言葉を耳にされた方も多いのではないかと思います。
サブリースとはアパートの管理を委託するやり方のひとつで、一括借り上げとか空室保証システムとか言われることもあります。
(サブリースを含むアパート管理のいろいろについては、アパート経営をするための入居者募集と管理業務をご参照下さい)

家主さんにとって、とても安心なシステムだと宣伝されている一方で、
サブリースに騙された、とか詐欺商法で危険という情報も耳にしていて、トラブルを起こしている実例もあるようです。
いったいどちらが本当なのでしょうか?

サブリースについて、私が建築営業として実際に販売していた経験から、その本当の姿をお伝えします。

なぜサブリースがトラブルになっているのか


サブリースのシステムは、本来はそれ自体がトラブルのもとになるような仕組みではありません。
建物を一括でサブリース会社が借り上げて、空室の有無にかかわらず賃料を支払う、というただそれだけのシステムです。

トラブルになった原因は、そのシステムを建築会社がアパートを建てさせるための武器に使ったからです。

多額の借金をしてアパート建築に踏み切る家主さんにとって、そのローンを払っていけるだけの家賃が確実に入ってくるのか、きっと不安に感じておられることと思います。
その不安を解消させるために、多くの建築会社が自社の家賃保証システムを武器に使ってきました。
”家賃が保証されますので、安心して建築に踏み切って下さい”という言葉を信じて、アパート建築を決断した家主さんも多いと思います。

でもサブリースの仕組みは、単に賃料を1棟単位で支払うだけのメリットしかないので、家賃が将来までずっと保証されるような魔法のような効果はありません。契約書にも”賃料は2年おきに見直します”とちゃんと記載されています。
そういうことを建築会社がきちんと説明せず、あまり立地条件のよくない場所でもところかまわずアパート建築に踏み切らせたことが最大の問題点だと思っています。

その後、家主さんは契約したときの家賃からだんだん値下がりして手取りが減ってしまい、そのうちにローンを支払うのがやっとという状況になって困ってしまい、ついにお怒りになってトラブルが起きるのです。

サブリースは損なのか、得なのか

自分ですべて入居者対応などをする場合なら特に費用はかからないのですが、賃貸の管理業務をどこかの会社にお願いする場合には、だいたい賃料の5%くらいの手数料を支払うことになります。
いっぽう、空室保証のあるサブリース形式で契約する場合だとその手数料は10%以上が一般的ですので、手取りが少なくなってしまいます。

アパートがいつも満室なのであれば、わざわざ家賃保証をつけなくても心配ないのですが、手数料を5%よぶんに払うことがどのくらいの安心につながるのでしょうか?
これは、入居率をどう考えるかによって決まります。

サブリース契約で家主さんから建物を預かっているサブリース会社は、だいたい入居率を95%以上に維持していっているようです。
入居率95%と聞くと、そんなにうまく満室に近い経営ができるものなの?とお感じになるかもしれません。ほぼ満室に近い数字のように思ってしまいます。
そんなとき、たまたま通りかかった近所のアパートを見ると6室中の2室が空室となっていてショックを受けたりします。これだと入居率は67%なのだからやっぱり空室は恐ろしい、と。

これは少し違います。たまたま見かけたその月に空室がいくつあるか、という考え方ではなく
入居率は年間の貸せる部屋数とそのなかの稼働(実際に貸せていた)部屋数の割合で考えます。

たとえば6室あるアパートの場合、6室を1年間(12か月)経営したとすると
年間に貸せる部屋数は6室×12か月なので、延べ72室ということになります。

仮に、そのうちの102号室が今年の3月に退去して4月まで空室となり、
203号室も3月だけ空室となったとしたら、年間で合計3か月分の空室が起きた計算になります。
そうすると、実際に稼働していた部屋数は、72室ー3室ですから69室ということです。

つまり年間の入居率は、69室を72室で割り算した69室/72室=95.8%
という計算になるのです。

空室保証なしで管理手数料が5%かかるとして、入居率が95%で経営できていたとしたら
手取りは90%ということになりますので、サブリースの場合と同じ手取りという計算になります。
この95%以上を維持できる自信があるかどうかで、どちらを選ぶか決めてもいいのではないでしょうか。

サブリースの本当のメリット

サブリースのメリットと言われている、収入の安定について考えます。
サブリースは収入の波がないからローンの支払いがあっても安心できる、と言われています。

たしかにサブリースでない場合には、空室がたくさん出た月はローンの支払いが収入を上回ることもあり得ますから、不安を感じるかもしれません。

でもその心配は、ローンの引き落とし口座にある程度のお金をプールしておくことで解決します。
一時的には収入を支出が上回る瞬間があるかもしれませんが、それはその時だけのことです。
先ほど説明させていただいた通り、年間で平均したら手取りはあまり変わらないことを考えると、ある程度の資金を口座においておくだけで心配はなくなります。

それよりも、サブリースの本当のメリットは気持ちの安定ではないかと思います。

私の担当させていただいたお客様でも、一般の賃貸管理契約からサブリースに切り替えてほしいと要望される方がおられました。
その方々が口をそろえておっしゃっておられたのは”入居者が退去して空室ができると、新しい入居者がいつ決まるかわからない不安をずっと抱えていくのに疲れた”というお気持ちです。

収入の波は資金プールをすることで解消できますが、空室がいつ決まるかわからない不安はぬぐえません。
サブリースの本当のメリットは、収入の波がなくなることよりも空室ストレスがなくなるメリットなのかもしれないと思います。

まとめ
・サブリースの悪評は、建築を勧めるためにそのシステムを大げさに説明しすぎたことが原因
・入居率の平均を考えると、サブリースも一般の管理も大きな手取りの違いはない
・サブリースの本当のメリットは気持ちの安定

サブリースについて考察いたしました。

サブリースとよく似たやり方で、社宅貸しがあります。こちらで解説しておりますのでご興味ある方はご覧ください。

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