アパート経営は儲からない、は本当か? 利回りについて

アパート建築

アパート経営って、儲かるんですか?
セールスマンとしてお客様に土地活用の提案をしていると、お客様からよく聞かれる言葉です。
こういう質問をされるお客様には、ほぼ毎回「儲からないですよ」とお答えしています。
実際には儲からないってことはありません。ちゃんと収益が出ることが多いです。

でも私のこの返事にがっかりされるタイプのお客様は、どれだけ頑張って収益の見通しをお示ししても、その数字に満足していただけないことが多いです。

私の答えの真意は「期待されているほど儲からないですが、それでもやる意味はありますよ」という意図なのです。そして、なぜ私がそう答えるのかをこれから説明します。

アパート経営と利回りについて

アパート経営がうまくいっているかどうかを判断するための基準で、よく「利回り」という言葉が使われています。
この利回りとは、おおざっぱに言うと投資でお金を使ったときに何年でもとが取れるかという計算のことです。たとえば100万円投資をして毎年10万円の収入が得られれば10年でもとが取れる計算になります。そしてこのときの利回りは10%ということになります。

たとえば250㎡(約80坪)の土地に1DK(33㎡)のアパートを6世帯建てたときの例で考えてみます。(できれば先に、この例の元ネタアパート経営の収支と手取りについて を見ておいて頂けるとわかりやすいです)

このアパートの建築費が仮に9,000万円だったとして、毎月7万円の家賃で貸せたとしたら、年間の収入は約500万円です。
そうすると、もし現金で建てたとしたらアパートの利回りは、500万円÷9,000万円=約5.5%ということになります。

でも、年間の賃料は500万円だったとしても、実際には手もとには500万円も残りません。
なぜならいろんな経費(固定資産税とか建物管理費など)がかかるので、手取りはもっと少なくなるはずだからです。
この経費を年間約120万円としたら、それを差し引いて年間の手取りは380万円になります。
この手取り380万円を建築費で割り算すると、380万円÷9,000万円=4.2%という利回りになる計算です。

経費を計算に入れない、最初の5.5%の利回りのことを表面利回り
経費を計算に入れた4.2%のほうの利回りを実質利回り、と呼んでいるようです。
そしてこの利回りがアパートの成績になる、と考えられています。なんだかすごく儲かりそうですが、ほんとうにそうでしょうか。

利回りの計算で忘れられがちな大事なこと

さっきの利回りの考え方で、私がいつも根本的におかしいなと思うところが2点あります。

ひとつめ。
まずそもそも利回り計算では全部現金でアパートを建てるという前提になっていますが、実際にそうやってお建てになるお客様はほとんどおられません。

たいてい借金をしてお建てになりますから、ローンの返済などもあり手取りの額はもっと低いです。
この計算の元ネタであるアパート経営の収支と手取りについての例だと、ローン返済を差し引くと年間80万円くらいが手取りとなっています。

え、それだと80万円÷9,000万円=0.9%になるの?! そんなに利回りが低いの?
と思われるかもしれませんが、それも違います。だって全部ローンで借りているのだから、現金の投資は9,000万円どころか1円も出資していないはずです。
そうすると今度は、利回りは無限大?またまた違います。唯一出資しているものがあります。

それはアパートの敷地である土地です。
売って現金に換えるのではなく、アパートに使ってしまったわけですから、この土地の価値が投資した財産ということになります。

なので、ふたつめ。
土地の価値もきちんと投資額に含めておくべきだということです。

たとえばこの土地(固定資産税評価が15万円/㎡)の時価を20万円/㎡と仮定したら、
時価は250㎡×20万円=5,000万円になります。これを計算に入れたとしたら以下のように考えます。

現金を出した場合

380万円(年間の手取り)÷(9,000万円+5,000万円)=2.7%

ローンで建てた場合

80万円(年間の手取り)÷5,000万円(土地の価値)=1.6%

もし仮にアパートを建てずに土地を売ってしまって、そうして手に入れた5,000万円を、1.6%以上の利回りで株式や投資信託などで(失敗せずに)運用できるなら、当面の手取りは同じという考え方です。

これが、私が「アパートはそれほど儲かりません」と言っている理由です。

アパート経営をお勧めする「儲かる」以外の理由

アパートの投資金額とリターンの予想金額をお客様に説明したときに、「全然もうからん商売やなー」とおっしゃるお客様には共通点があります。
多いのは、会社経営者として才能があって成功されていて、いろんなビジネスを上手に経営されている方たちです。
この方々の口ぐせは「9,000万も投資したら、もっと効率よくやらないと。私なら5年で回収できる」とか、そういうことをおっしゃいます。(5年で回収だと、利回り20%です)

そしてそれは本当なのだと思います。
お話ししていてもわかるくらい才能とバイタリティーにあふれてていて、きっとこの方々ならわずかな投資でも大きく稼いでくることができるのだろうと感じます。
でも、だからといってアパート経営のちっぽけな利回りがダメだとは私にはどうしても思えません。
なぜなら世界には私のような凡人のほうが大半だと思っているからです。

アパート経営は建物の投資にはたくさんお金がかかりますが、最初にしっかりとした建物さえ建てておけば、どんな凡人にでも経営はできると思っております。(皆様が凡人だといっているわけではありません、ご容赦を)
才能あふれる経営者や腕の立つ料理人さんなどは、狭い事務所しかなくても屋台を引いてでも、その才能と腕前で成功できるのかもしれませんが、それはすべてその本人さんの力量に頼っています。
病気で倒れたり一線を退いたときに、ご家族や後継者さんが同じようにできる保証はありません。

アパート経営を思い立ったお客様の多くは、次の世代に土地を引き継いでいってもらいたいという思いとともに、安定した収入を家族に残していってあげたいというお気持ちをお持ちになっておられます。
そしてそういう方針での投資という点ではアパート経営は向いていると思います。

だから私は、誰にでもできるアパート経営というのは、あまり儲からなくても意味があると考えているのです。

まとめ

  • 利回りとは、投資額に対して年間でいくらリターンがあるかという指標
  • 土地の価値も含めた投資額に対しての利回りで考えてみる
  • アパート経営はそれほど儲からないけど、才能や力量が要らない安定したビジネス

皆さまのアパート経営が少しでも利回りがよくなり、かつ安定するように
今後もがんばって情報提供をさせていただきます。

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