生活をしていると、かならずゴミが発生します。そしてそのゴミはまとめて出して、ごみ回収業者さんが回収していってくれます。
ごく当たり前におこなわれている日常ですが、
アパートを建てたら、入居者のゴミはどこかに出しておけば誰かが勝手に回収してくれるもの、と思ってはおられませんでしょうか?
そんな簡単なものではありません。
アパートを建築したときのゴミの回収の問題には、いつも頭を悩まされてきました。
対応を間違えると大きなトラブルにもなりかねない大事なポイントです。
ここではアパート建築でのゴミ回収の問題についてお話しします。
そもそもゴミはどこに捨てて、誰が回収するのか
生活していて出るゴミは一般廃棄物と言われ、
市町村の許可を受けた回収業者さんが、市町村の仕事として回収することになっています。
回収のしかたはいろいろですが、たいていはゴミを集めて置いておくポイントが決められていて、そこに置かれているゴミを業者さんが回収する、といった手順になっているようです。
(回収ポイントは、市町村の各地域の美化センターとかクリーンセンターに登録されています)
では、アパートを新築してごみ置き場を敷地内に作ったら、つぎの日からゴミ収集車が集めに来てくれるかというとそうではありません。
何もしなかったらゴミは集められずにそのまま敷地に残ったままになります。
新しく回収場所を作ったら、市町村(たいていは美化センター等のなかに受付の事務所があります)に届け出をして、回収してもらう了解が必要になります。
ところがこの届出は、出せばかならずOKが出るとは限らないのです。
いろいろと条件があって、その条件に合わなければ回収には来てくれません。
(この条件についてはあとで説明させて頂きます)
回収に来てくれない、となると入居者がゴミを捨てられなくなりますので
そんなアパートに住みたがる入居者はいないですから、アパートの経営はできません。
では近くのゴミ捨て場になっている場所に持っていって捨てれば、確実に回収に来てくれるのでは?
これも簡単にはいかないのです。
なぜなら、近くのゴミ捨て場はそれを管理している団体(たいていは自治会)があり、そこと無関係な住人が勝手に捨てることはできないとされているからです。(あとで苦情が入ってきます)
こちらもやはり、アパートの完成までにその地域のゴミ捨て場を管理している自治会等との相談や、取り決めが必要となります。
そしてやっかいなのは、アパートの住人さんが地域のゴミ捨て場を利用することを断ってくる自治会が多いことなのです。
ゴミ置き場の設置でトラブルにならないよう、ゴミ置き場とはどのように決まっていくのかを知っておく必要があります。
まずはゴミ置き場を新設して市町村に届出をするやり方から説明していきます。
ゴミ置き場を新設するときのルール
アパートを建設するときに、違法建築をチェックする法律(建築基準法)以外に
開発指導要綱(もしくは条例)という、各市町村ごとの独自ルールがあります。
そのなかに、ゴミ置き場の設置の規定が書かれていることが多いです。
なので開発指導要綱に該当する規模のアパートのときは、そのきまりに従います。
※開発指導要綱についての詳しい説明は、こちらをご参照ください。
こんな感じです。

このように、細かい規定があります。
市販のゴミボックスを置いておけばなんとかなるだろう、と思ってなんとなく設置してしまうと
規定外だからダメです、と後から言われてしまいますので注意が必要です。
そして開発指導に該当しない規模のアパートについて、特に気をつけておいた方がいいです。
ゴミ置き場だけは独自に協議が必要な市町村がほとんどだからです。
開発指導がなくてもゴミ置き場の協議は忘れないでください。
開発指導がないため、うっかりゴミ置き場の協議を忘れてアパートが完成してしまうと、
規定に合わないから回収しない、と言われてしまうかもしれません。
あと厄介なのが、市町村によってはゴミ置き場の新設をできるだけ抑えようとして、
アパートの戸数が少ないときには設置を認めない場合があることです。
たとえば、この自治体では6戸以上のアパートしかゴミ置き場の新設を認めていません。

決して意地悪でそうしているのではなく、
ゴミ置き場が増えると回収業者さんが立ち寄るゴミ捨て場の数が多くなりすぎて、どんどん回収の時間がかかってしまうから、と聞きました。
また実際にあったケースでは、ゴミ回収の作業車が入っていけないくらい狭い道路の奥に建っているアパートの回収を断られたり、
設計の都合上、どうしても道路に面してゴミ置き場が設置できなかった計画になってしまったときに、これも回収を断られたことがありました。
いくら市役所の仕事といっても、
やはり回収業者さんの作業に無理が生じてしまうと、ゴミ回収は成り立たないですから、
条件によっては回収を断られることもあり得るのです。
では、近所のゴミ捨て場を利用するのはそうでしょうか。
地域のゴミ捨て場には独自のきまりがある
その地域にお住まいの住人さん(アパート入居者以外)が、どのようにゴミを出しているかを見てみると
・自宅の前の道路に出しておくパターン
・近くのゴミ捨て場に出しに行くパターン
の2通りくらいのように思います。
一部の市町村では、前の道路に出しておいたらゴミを回収してくれるところもありますが
たいていはゴミを置く場所を地域ごとに決めていて、そこに出しにいっておられるところがほとんどです。
そして、そのゴミ捨て場の管理については地元の自治会がルールを決めていることが多いのです。
ルールで多いのは掃除当番で、
ゴミ捨て場で散らかってしまったゴミの掃除などを、地域の住人さんが当番を決めてやっておられます。
また、生ゴミを出す日を間違えた人がいたりすると回収業者さんは持って行ってくれませんから、その取り残しのチェックなどもしておられます。
アパートの入居者さんが、他の地域の方と同じように掃除当番をしてくれたらいいのですが
多くのアパートの入居者さん(特に単身者さん)は、そうした面倒なことをやらされるのを嫌がります。
それどころが敷地内にあるゴミ置き場の利用でさえも、ゴミ出しの曜日を守らなかったり、
指定のゴミ袋を使わずに回収業者さんが取り残しをしたりすることも多いので、マナーの悪い方もおられるのが実態です。
なので自治会によっては、ゴミ置き場の利用は自治会に加入している人に限る、と言い切られるところも少なくありません。
アパートを建てるので地元のゴミ置き場を使わせてください、と頼みに行っても、たいていの自治会からは断られます。
敷地内にゴミ置き場を新設できる場合ならそれでもかまわないのですが、
いろいろな悪条件が重なったり、市町村が新設を認めないケースで
ゴミ置き場の新設ができない場合は、地元の自治会のゴミ置き場を使わせていただくしかないので
本当に困ったことになるのです。
「自治会加入とゴミ置き場利用は別」が建て前なのだから、市役所が対応しないといけないのでは?
と言いたくなるのですが、
市役所がこの考え方で家主さんの味方になってくれたことはほとんどありませんでした。
こういうケースで、市役所からよく言われる解決策として
「市の業者さんでは回収できないが、民間の回収業者さんならやって下さることもあるので
有料で回収をお願いされてはどうですか?」
と突き放されることが多かったです。
これはこれで別でお金がかかってしまいますので、
家主さんの出費も増えてしまうため、もちろん家主さんは納得されません。
こうなると、もう八方ふさがりになります。やはり諦めずに相談するしかありません。
自治会や市役所との交渉は、過去に何度もやってきました。
掃除当番を近くに住む家主さんが代わりにやるから、という条件付きで使わせてくださったケースもありますし、どうやってもダメだったケースもあります。
市役所に地元の事情を何回も説明に行って、ゴミ置き場を例外的に新設させてもらったこともあります。
結局、粘り強く市役所や地元と交渉をして、何とか解決策を見つけていくしかないのです。
まとめ
- ゴミを回収してもらうにはルールがあり、届け出が要る
- ゴミ置き場も設置場所によっては回収してもらえないので注意
- 地域のゴミ置き場を使うのを自治会が認めてくれるとは限らない
ゴミ置き場ひとつのことではありますが、
アパートの新築のときには、いろいろと難しい問題がありますので、
覚えておいておかれるとお役に立つかと思います。

