アパートの空室が続く理由を探る

賃貸管理

家主さんとの会話で時おり耳にするのが、空き部屋のお悩みです。決して悪い立地条件でもなく、賃料もそれほど高くないのになぜか空室になってなかなか決まらない。。というアパートがあります。

たとえば、地域におなじ条件の部屋が1,000室あって、その地域にお部屋探しに来る人が800人いたとしたら、ベスト500位くらい(つまり平均以上)に入っていると、それほど空室に困らない計算になります。

立地や賃料に問題がないとしたら、なにか別の条件があるのかもしれません。
実際にその原因を自分で調べてみて、そこに隠された理由があること知りました。
自分自身の経験をもとにお伝えさせて頂きます。

管理会社が行うオーソドックスな空室対策とは

まず、通常の賃貸物件で長期(3か月を超えるくらい)の空室が続くと、家主さんも賃貸ショップも管理会社も何らかの対策を始めます。(家主さん、賃貸ショップ、管理会社の位置関係についてはこちらを参考にして下さい)

空室を早く決めたいのはやまやまですが、賃料を下げて決めてしまうと、今後ずっと差額の損が続いてしまう羽目になりますので、まずはできるだけ賃料はそのままして対策をします。
よくあるのは1か月フリーレント(最初の1カ月だけ家賃を無料にする)とか、礼金をゼロにするなど、一時的な金額のサービスを行って、入居のハードルを下げるやり方です。

募集をお願いしている賃貸ショップさんに頑張ってもらうために、手数料を規定よりも多めにお支払いすることもあります。
それでも決まらなければ、最後は賃料の調整をして値下げに踏み切ります。
いずれにせよ、まずは金銭的な条件を変えることで空室対策をおこないますが、たいていの場合はこれでなんとか決まっていくので解決いたします。

ところが、なかにはそうした対策をしても全然きまらないアパートもあるのです。賃料もかなり下げているのですが。。

賃料が安くても決まらないアパートの実態調査

これは私の体験なのですが、私がいた会社で築20年以上になるアパートの家主様と、当時たまたまお話しする機会があり、空室が多いとのお悩みをお聞きしたことがあります。

家主さんいわく14室あるワンルームのうち11室が空室で、なんと3室しか埋まっておらず、家賃も2万円台まで下げているのにいっこうに決まらないとのお話でした。もうアパート経営はあきらめて売ってしまおうかと思っている、とまでおっしゃっておられました。

古くなったとはいえ、建物はまだまだしっかりしていましたし、立地も決して悪い場所ではありません。でも、それにしてはあまりにも空室が多いことが気になったため、お調べすることとなり現地に聞き取り調査に行ってみました。
まずはそのアパートを見にいったあと、最寄りの駅の賃貸ショップのなかで信用がおけるお店を紹介してもらって、そこの店長さんと約束を取り、お話をお聞きすることができました。

お店に着いてご挨拶したあと、そのアパートの名前を告げると「ああ。。あそこね。。」という反応をされたため、ちょっと嫌な予感がしたのですが
なにかよくないところがあれば教えてください、と聞いてみたところ、もう山ほど欠点を聞かされました。

まず入居者を案内しても、お部屋や共用部分(廊下や階段など)が汚くて印象が非常に悪いこと。
退去したお部屋の壁紙は、もったいないから次の入居者が決まるまで張り替えないので、入居者を案内してもお部屋が汚く見えて敬遠されるとのことでした。
室内の設備もかなり時代遅れで何世代も前の仕様なのに、ずっとそのままだそうです。
せめて暗い色の床だけでも明るい色に変更(貼り換えると高いので上から貼ってもいい)を勧めても、もったいないからと聞いてくれないと嘆いておられました。

さらに当時は大学の移転などでその地域の空室がたくさん発生したこともあり、
仲介の手数料を競争のように上乗せする家主さんが多かったらしく、家賃の2か月とか3か月ぶん支払ってくれる家主さんがほとんどだったなかで、
この家主さんだけは絶対に1か月分しか頂けないことがお店に知れ渡っていた、とも言われました。
どうやら、こちらの想像以上にショップのなかでのこのアパートの評判は悪かったようです。
他のお店でもこのアパートは悪い意味で有名ですよ、とのお話しで、家主さんだけがそれを知らなかったという恐ろしい状態でした。

空室の原因を家主さんが知ることができないのは

ここまでの悪い評判が立っていると、なかなか空室を埋めることは難しいです。
賃貸ショップを味方につけられていないことは、賃貸募集においては致命的な失敗なのです。

賃貸ショップの営業は、常に仲介手数料の売り上げという成果を会社から求められてます。
あるアパートを入居者にどれだけ紹介しても、印象が悪いからと断られることが続いたうえに、仮に頑張って成約できたとしても手数料が2万円台しか入らない仕事だとしたら、あまり有り難いものではありません。
それよりも、入居者がすぐ気に入ってくれて、しかも手数料も3倍稼げるアパートを紹介できるなら、その方がはるかに効率がいいにきまっています。

どうやら多くの賃貸ショップの店員さんが、このアパートを入居者に紹介すらしていなかったようです。むしろ、他に決めたいお部屋を案内するときの前にわざとこのアパートを見せて、引き立て役に使ったりしていたようでした。これでは空室が埋まるわけがありません。

私は不思議に思い、どうしてそれを家主さんに伝えてあげないのですか?とお聞きしてみました。
店長さんは少し悲しそうな顔で、”言ってもきいてくれないのです。。逆に怒られてしまうので、もうそれ以上は言えなくて”と答えて下さいました。

赤の他人である賃貸ショップの店員さんにとって、そこまでしてまで家主さんの空室を埋める義理はありません。
賃貸ショップにとっては家主さんはお客様ですから、わざわざご機嫌の悪くなることをできるだけ言いたくないですし、もし空室がたくさんあっても賃貸ショップにとっては損害もありませんし、そもそも全く関係のないことなのです。

そのアパートの評判は家主さんにはいちばん伝わりにくいような仕組みになっているから、なかなか気づけない、というのが答えでした。

後日談

調査を終えたあと、気が進みませんでしたが家主さんに報告に伺いました。
家主さんはじっと聞いていただいていましたが、”いままで、どうしてそれを正直に言ってくれなかったんだろうか?”と問いかけてこられました。
おそらく今まででもそういうお話しは出ていたかもしれなかったけど、私のような当事者でないものから聞かされるほうが素直に耳に入ってくるのではありませんか、とお答えいたしました。

その後、その家主さんは私の意見をすべて聞き入れて下さり、指摘があったところはすべて改善して下さいました。

改善して頂いてから1年くらいして、あらためて連絡を差し上げたところ、
14室中13室までが埋まり、空室は1室のみとなったよ、と嬉しそうなお声でお返事を頂きました。
本当によかったな、と安心した次第でした。

自分の足らない部分は自分には見えていないものだな、と
これは自分自身に対する教訓にもなる良い経験をさせていただいたお話しでした。

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