土地の広さ20坪~30坪でアパートを計画するには

アパート建築

アパートは、何坪の広さの土地からだと建てられるものですか?
という質問を受けることがあります。

一般的なルールの土地で特に規制がない場合は、私は20坪くらいからかなぁと思っています。
もちろん、その土地にかかっている法律上のルール(建築基準法など)や規制(開発指導要綱など)によって、条件が変わってくるのでケースバイケースではあります。

でも、アパート建築というと大きな土地を使って建てるものとは限りません
小規模な土地には向かないというイメージがあるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
私がお仕事のなかで実際にお手伝いさせて頂いた建物のなかには、1階の広さで1戸12坪(2階建てなので2戸合計24坪)のアパートもございます。

最近のご相談では、ご実家の一戸建てをご相続されたあとのご活用の方法をお問い合わせいただくことが増えてまいりました。
そのなかで、比較的小規模なお土地の活用をどうしようか悩まれているお客様が意外に大勢おられます。

ここでは20坪くらいの土地でアパートを計画するときに、具体的にどんな感じで検討を進めていくのかということを、実務と同じ手順でご紹介してまいります。

まずは法令チェック

具体的な計画を作っていくまえに、まずその場所が住宅やアパートが建てられない土地でないことが前提になります。
また、開発指導要綱によっては敷地面積の最低ラインが決められていることもあるので要注意です。
※建てられない土地や開発指導については、ここでは説明を省きます。

気になられる方は住宅、アパートが建てられない土地とは、とアパートを建てるとき、まずいちばん最初に調べること 開発指導要綱についてをご覧いただけるとわかりやすいかと思います。

その土地にアパートや住宅が建築できる、ということが確認できましたら次は、
どのくらいの広さまで建てても構わないかのチェックをします。

これは土地の場所ごとにきまっていて、
1)地面の広さのうち、建物が建てられる広さの上限と空地の割合を決めている「建ぺい率

2)地面の広さに対して、建物の全部の広さの合計の上限を決めている「容積率
の2つが主なものです。

たとえば建ぺい率が60%と決められていると、
20坪の土地の場合には12坪以上使って建物を建てることはできず、あとの8坪はあけておいて下さいというきまりです。

容積率200%という決まりがあると、
20坪の土地だと、建物のすべての広さの合計は40坪までが限界となります。
なので、土地のうち12坪を使って4階建てを建てようとしても、12坪×4階=48坪とはならず、40坪を超える8坪の広さをどこかで削らないといけなくなるのです。

この建ぺい率や容積率は市町村ごとに、土地の場所によって決められていますので
「用途地域 〇〇市」などで検索したら「都市計画図」を閲覧できるホームページが探せると思いますので、そこに記載されているはずです。
よく見ておかないと、建ぺい率40%とか容積率80%とかいう地域もありますので(これ、めちゃくちゃ厳しいです)見落とさないようにしないといけないです。

具体的に土地広さ20坪で計画してみる

まず20坪の土地がどのくらいの広さなのかイメージしてみましょう。

道路幅に注意

最初に、土地の広さが確実に20坪あると言えるためには、前の道路の幅が4Mあることが前提条件となります。
なぜ敷地の広さと、前の道路の幅が関係あるの?と思われるかもしれません。

じつは前の道路の幅が4Mに足りなければ4Mになるように広げないといけないからで、広げたあとの広さが実質的な土地の広さとなるからです。

法律で、4M未満の道路に接して住宅は建てられませんというルールがあります。
もし道路幅が4Mに足りなければ、道路の中心から最低でも2M離れたところまで下がったところを敷地の境界線とみなすことになっています。

そして要注意なのは、先ほど説明した建ぺい率や容積率は、下がった後の敷地の面積が基準なのです。
下の例では、敷地は21坪あるんだけれども道路幅が3Mなので、道路を広げた後のその敷地の広さは20坪に減っています。

道路幅によっては、土地の広さが減ってしまうことがありますのでご注意ください。

建てられる広さの上限をどう使うか決める

道路の広さの確認が終わると、土地の面積が20坪(約66㎡)であることが確定いたします。
次に重要なのは、建てられる広さの上限は、法律の決まりでは何坪までなのかを知ることです。
その広さがわかると、具体的な建物の寸法を逆算していくことができていいくからです。

仮にここの土地の建ぺい率が60%、容積率が200%だったとします。
そうすると使える地面の面積は、66㎡×60%=39㎡ という計算になります。

たとえばこの土地の横幅が6.6mだったとしたら、建物の横幅を5.6mと決めてみます。(ひと廻り小さくした幅です)
そして先ほどの計算で、建てられる広さの限度が39㎡だとしたら
建物の奥行を逆算すると、39㎡÷5.6=7m が上限となりますね。
こんな感じです。

これで建物の輪郭ができました。あとはこの内側をどうするかを考えていきます。

コンパクトな土地のときの効率のよい計画のしかた

39㎡という数字が決まると、あとはこれをどこまで上に伸ばしていくかを決めていきます。
建物全体の広さは、2階建てなら2倍の78㎡3階建てなら3倍の117㎡となり、少しでも大きく建てたいと思うなら3階建てを選びがちなのですが、
私の場合は、こういうときはほぼ2階建てで提案します。
なぜならこの広さの範囲内で3階まで上がっていくための廊下や階段を作っていくとお部屋のスペースが大きく削られてしまうので、けっこう無理があるからです。

では2階建てで計画したとしたら、78㎡をどう使っていけばよいでしょうか。
①78㎡全部を使って1戸のテラスハウスを作る
②78㎡を半分づつ使って、2戸のアパートを作る
の2択になります。
どちらを選ぶかは、その地域のアパートのニーズにもよるので一概には言えませんが、セオリーとしては②の2戸を選ぶことが多いです。

理由のひとつ目は、2戸に分散したほうが家賃の総額が増えることが多いからです。
たとえば39㎡の単身者向けのお部屋が月額7万円で貸せたとしたら、2戸で14万円になりますが、78㎡のテラスハウス1戸が同じ金額で貸せることの方が少ないからです。

理由のふたつ目は、このくらいの土地の広さだと建物を建てたあとの空地があまり広く残ってこないため、駐車場のスペースを設けることが難しいからです。
広いテラスハウスの場合、駐車場は最低1台(できれば2台)欲しいところですが、それが難しくなってくるので、それなら比較的駐車場の台数を求められない単身者向けの方が適していると考えます。

そして建て方も、共用部分を作らずに済む重層長屋の建て方を選んでいくと効率がいいです。
(重層長屋って何?と疑問がわいてこられた方は、「アパートは長屋がいい?共同住宅がいい?」をご参照下さい。


具体的にはこんな感じです。

方針が決まれば、あとは内側を設計していきます。

こんな感じの、コンパクトな2戸の重層長屋ができ上ってきます。

20坪の土地だと大規模なアパートは難しいとしても、効率よく計画すればこのくらいの建物なら計画できてきます。

まとめ

  • 規模が小さくても(小さいほど)法令のチェックは重要
  • 具体的に計画するときには、道路幅や建てられる上限面積、無駄のない部屋割りに注意

もし皆さんが小規模な土地の活用を計画される機会があれば、ここの内容を少し思い出してみてください。もしお役に立てたなら幸いです。

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